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山の家

敷地は軽井沢の旧い開発地の一部で、隣接地からは国有林となっており、今後視界が妨げられるという心配がほぼない希有な場所である。初めて訪れたときには接道部からの落差に驚いたが、同時に眼下に拡がる樹冠の連なりが波のようにも見える。夏は樹海の波際のボートハウス、冬は雪の中に踞る小さな小屋といったイメージをした。敷地に立つと傾斜に水平感覚を失うが、木立がそのなかで姿勢を教えてくれる。柱幅の変化によるカーブに森を抽象化し、その中を立体的に通過する視線を通じて自分を定位するような居場所にしたいと考えた。訪れる人は断面を縫うように樹冠から幹に向かって徐々に視線を落とす。その変化を眺めるうちに気がつけば手のひらの中に収まる。また外観は見る方向により弱くも強くも見える。それが山に対峙し、山に飲み込まれていく人の心のように映れば、普遍な”山小屋のある風景”に近づけないかと思った。

Date:2008
Category:週末住宅
Location:長野県
Total floor area:77.81㎡
Consultant:多田修二構造設計事務所
Contractor:木次建設工業
Photographer:DAICI ANO